私は、救われる 必要が 無いのです。
「ところで、、、。」
大いなる者は、足を組みかえながら
「おまえは何のために此処に来たのだ。」
「おそらく目的を持って、来たのでは無く、
自分の内なる瞑想を楽しんでいるうちに、迷い込んだのでしょう。
ですが、とても気持ちの良い処ですね。
明るく、すがすがしく、ゆるやかで、
疲労しきった時の様な、風邪による高熱でうなされて居る時の様な
ふわふわとした 高揚感があります。
とても好い処です。
ですが、私は最近、自分が暮らす地上において、
無限に湧いてくる、理由なき 高揚感を 失いつつあると感じます。
その為、此処に迷い込んだのではないでしょうか。」
「私に、助言あるいは、救いを求めに来たのか?」
「いいえ。違うと思います。
私は、救われる必要 が無いのです。」
「救われなくも、良いと・・・。」
「はい。
ですが、私は知りたい。」
「何をだ。」
「私が今在る、根本の理由、・・・上手く言えない。
・・・・上手く表現できない・・・・・・・。
私は、産まれた時から、多くの 生きる為の資質を
欠落させたまま産まれてしまったのだと思います。
小さい、幼い頃から感じて来ました。
良いか、悪いかという事柄では無いのですが、
見る・聞く・味わう・触る・・・・など、
回りの人達とどうも、・・・違うみたいです。
ある意味、才能と言えなくも無いですが、私自身は
生きる為の才能の欠如 と感じて来ました。」
「ずいぶんと、辛い思いもしたのであろう。」
「いえ、辛いと思った事はほとんど有りません。が、
多くの悲しみは在りました。
あなたの助言を待つまでも無く、
私は、人の歴史は無意味なものではないと思います。
確かに、人は、報われない事も在る事を承知の上で 、
多くの努力をして来ました。
名も残さず、歴史を積み上げようとして来たのです。
頭下がる 行為です。」
「ああ、そうで在るな。私でも心打たれる事だ。」
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