腑に落ちねえ

「でね。だんな。
あっしは板前だ。
旨いものをお出しして、だんなからお代を頂く。
そして、たつき(生活)を立てる。
私の店に魚を卸す仲買人もピンをはねます。あたりまえだ。
市場には競り人もいます。
運ぶのは、運送屋でさあ。
戸板一枚、地獄の上で、漁師が儲けるのもこれも当たり前だ。
少ねぇぐれえだ。
でもね、だんな。
あっしには、どうしても腑に落ちねえ事が在る。
今だんなが口にされたマグロ。
こいつには、一銭もいかねえ。
それが、腑に落ちねえんでさあ。」
2011年11月01日 Posted by ぱーぷーぼうや at 18:18 │Comments(0) │詩・書・画・など
かしましハウス・野田家。


おとうさん 長女 ひとみ


二女 ふたば


三女 みづえ 四女 よもぎ

五女 ごろー
れっきとした、メス犬です。
男の子が欲しかったお父さんが、
強引につけた名前です。
まことに、不思議な漫画です。
四コマ漫画の
一つの「頂点」とも言えるでしょう。
2009年09月20日 Posted by ぱーぷーぼうや at 21:45 │Comments(0) │詩・書・画・など
自分の感受性くらい
自分の感受性くらい

静かにたたずむ、杉林
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいのはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいのはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子 「落ちこぼれ」 理論社より
静かにたたずむ、杉林
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいのはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいのはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子 「落ちこぼれ」 理論社より