腑に落ちねえ
「でね。だんな。
あっしは板前だ。
旨いものをお出しして、だんなからお代を頂く。
そして、たつき(生活)を立てる。
私の店に魚を卸す仲買人もピンをはねます。あたりまえだ。
市場には競り人もいます。
運ぶのは、運送屋でさあ。
戸板一枚、地獄の上で、漁師が儲けるのもこれも当たり前だ。
少ねぇぐれえだ。
でもね、だんな。
あっしには、どうしても腑に落ちねえ事が在る。
今だんなが口にされたマグロ。
こいつには、一銭もいかねえ。
それが、腑に落ちねえんでさあ。」
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